松田浩孝君に発言を許可いたします。
[松田浩孝君登壇](拍手)
3 ◯松田浩孝君 おはようございます。
平成二十七年第二回定例会に当たり、
公明党県議団を代表して一般質問いたします。
五月二十九日の
口永良部島新岳の爆発的噴火から十七日間が経過いたしました。六月十三日、安倍総理が避難所を視察され、島民に寄り添う支援を約束されました。避難生活を余儀なくされている島民の皆様にお見舞い申し上げ、長期の避難生活も見込まれる中、生活及び仕事の支援等に万全の対応をお願いし、通告に従い質問してまいります。
初めに、知事の政治姿勢について、まず、地方創生に関連して伺います。
日本は、二〇〇八年から
人口減少時代に突入し、人口の急速な落ち込みは経済の停滞や生活水準の低下を招き、都市圏への人口流出が続く地方には既に深刻な問題があらわれている地域もあります。人口減少に歯どめをかけるためには長い期間を要しますが、早く手を打つほどその効果は高まります。
ひとが主役の地域社会へ。いよいよ各地で地方創生への取り組みが本格的にスタートいたします。各自治体は二〇一五年度中に、独自の政策と数値目標を盛り込んだ
地方版総合戦略を策定することになっております。とりわけその議論に当たっては、産・官・学に加え、地域の実情を詳しく知る、金・労・言─金融機関・労働団体・メディア─や、住民の代表を巻き込むことが重要であります。公明党の活気ある温かな
地域づくり推進本部は、国が示した
地方創生メニューの中から、ひとに焦点を当てた五分野に重点を置くよう提案しております。
具体的には、一つ目が、地域しごと支援、二つ目、
都市農村交流、三つ目、奨学金を活用した大学生などの地方定着の促進、四つ目、
子育て世代包括支援センターの整備、五つ目、中山間地域などで生活・
福祉サービスを一定エリアに集める小さな拠点の形成であります。
各自治体の
地方版総合戦略策定に当たって、県は調整機能を発揮し、目標設定や施策の方向性について整合性をとるため、連絡・調整の場の設定が必要とされております。
谷口九州大学教授は、「政策は、官が制度と計画をつくって終わりではない。実際に民が事業を実施し、雇用や定住人口がふえて初めて意味がある。成果の実現のためには、政策の
企画立案段階から民を交え、実施まで一貫して官民が共同参画する
政策推進組織が必要だ」と訴えられております。
そこで第一点は、市町村の戦略策定に係る県の調整機能の現状と県の戦略策定に係る
産官学金労言や住民代表の参画の現状と今後のスケジュールについて伺います。
人が生きる、地方創生の最大の鍵が人であります。東京駅
八重洲中央口から徒歩四分にある移住・
交流情報ガーデンを視察してまいりました。全国自治体の
移住情報冊子が置かれ、パソコン上では、
総務省全国移住ナビで情報の検索ができました。四名の相談員はそれぞれ専門分野を持ち、仕事や就農支援、住環境などについて的確に対応されておりました。移住に関心を持ち、ふらっと訪問した方が鹿児島に興味を持っていただく仕掛けが必要だと感じました。
第二点は、県の移住・交流促進の取り組みの現状と課題、移住・
交流情報ガーデンの活用について伺います。
奨学金を活用した大学生等の地方定着の推進として、政府と地方自治体、地域の産業界が連携して、地方に就職する学生の
奨学金返済額を減らすメニューがあります。自治体や産業界が共同で基金をつくり、卒業後の返済を一定の割合で肩がわりし、国が都道府県の出捐額に特別交付税を措置する内容であります。
類似の取り組みは既に香川県など幾つかの自治体で行われており、二〇一二年度から始まった香川県の制度では、対象者に月額三万円から六万円程度の無利子奨学金を貸与。卒業後、同県内で就職した場合は、借りた月数に一万五千円を掛けた金額の返済を肩がわりする。制度に対する利用者の評価は高く、初年度は募集定員の十倍近い応募があったそうです。
政府は、この新しい
奨学金事業で、事業に取り組む一
道府県当たり百人程度を対象としております。
そこで第三点は、県が夏までに制度設計するとしている
奨学金制度の内容、課題について伺います。
少子化から脱出するためには、いかに産み育てやすい環境をつくるかが問われています。フィンランドの
母子支援施設ネウボラをモデルにした事業が東京文京区などで実施されております。妊娠・出産期から育児期までの
子育て支援策を充実させ、総合的な相談や支援体制を
ワンストップで対応する事業であります。
第四点は、本県でも市町村によってさまざまな取り組みがなされておりますが、県として、
ワンストップの
ネウボラ事業の推進に対する認識を伺います。
次に、県民所得について伺います。
内閣府が発表した二〇一二年度の
県民経済計算によると、一人
当たり県民所得の全国平均は前年度比〇・六%増の二百九十七万二千円で、三年連続で前年度を上回り、二十六の県で前年度に比べプラス。
地域ブロック別に見ると、北海道・東北、中部、近畿、
九州地域ブロックでプラス。
実質経済成長率は、二十五の県でプラスの結果でありました。
東日本大震災の復興需要などにより、景気が回復しつつある状況だったことが背景にあると報道されました。
全国の状況に対して、鹿児島県はマイナス〇・九%で、前年度の三十七位から四十二位になりました。
そこで、前年度三十七位に上昇したと評価されておりましたが、伸びがマイナス〇・九%で四十二位になった結果について、知事の認識を伺います。
次に、
総合教育会議に関連して伺います。
今年度より、新
教育委員会制度がスタートしました。改正されるきっかけは、平成二十三年十月に発生した滋賀県大津市の中二
いじめ自殺事案、そして翌年十二月の大阪市桜宮高校で体罰が原因と見られる生徒の自殺などの不祥事であります。行政側の事後対応が問題とされ、学校や
教育委員会が事実関係を明らかにし、責任を明確にしなかったと批判されました。学校や
教育委員会の隠蔽体質など実態はともかく、社会的批判が多くありました。
新制度では、首長に
リーダーシップを発揮してもらい、首長と
教育委員会とがフランクに意見交換ができるよう
総合教育会議が設けられました。そこでの協議を経て、首長が、教育の振興に関する施策の大綱の策定や重点的に講ずべき施策等について協議・調整を行うことになります。五月に鹿児島県
総合教育会議が開催されました。
そこで、知事の
リーダーシップのもと、教育の振興に関する施策の大綱が策定されますが、知事の本県教育に対する所感について伺います。
次に、
口永良部島大噴火に関連して伺います。
五月二十九日午前九時五十九分、屋久島町
口永良部島の新岳において爆発的噴火が発生、
鹿児島地方気象台は、
噴火警戒レベルを三から最高の五に引き上げ、それに伴い、屋久島町は全島民に避難指示を発令しました。
旅行者を含む全島民百三十七名は、町営船の
フェリー太陽や
海上保安本部の
巡視船搭載ヘリなどで屋久島に避難いたしました。住民一人がやけどを負ったものの、昨年八月の噴火時の経験も生かして、全体としては大きな犠牲者を出すことなく無事に避難することができたことは、不幸中の幸いでありました。
我が会派は、爆発した二十九日に屋久島に入り、避難してきた皆様にお見舞いを申し上げるとともに、さまざまな御要望をお聞きしました。翌三十日には、
江田衆議院議員、
秋野参議院議員とともに、屋久島町長にさまざまな要望をお聞きし、六月二日には、官房長官に町長や島民の要望を届けたところであります。
そこで第一点、避難生活が長期化することも考えられますが、避難者はそれぞれ状況が異なり、多様なニーズがあることから、生活支援のため、相談窓口の設置を含めて、県としてどのような支援をしていくのか伺います。
第二点、
口永良部島には、小学生が十人、中学生が六人在学していました。留学生もおりますが、現状と今後の対応について伺います。
第三点、屋久島町長からは、今後も避難することが考えられることから、番屋ヶ峰の避難所の近くにヘリポートを整備してほしいとの要望がありましたが、県の見解を伺います。
次に、
統一地方選挙に関連して伺います。
今回の
統一地方選挙では、投票率の下落に歯どめがかからず過去最低を記録しました。人口減少と
少子高齢化が進む中、地方創生の担い手として地方議員の役割が重要になってきたにもかかわらず、逆に住民の関心は冷めていくようであります。
鹿児島県議選の投票率は四八・七八%で、過去最低を更新しました。投票に行かない理由は、政治への関心の低さや入れたい候補者がいないなどさまざまだと考えます。原因を分析して、議会と県民の距離を縮めるあなたのそばで県議会の推進などの議会改革や地方自治を学ぶ教育、立候補しやすい環境づくりなど、多方面から対策を考える必要があります。全体の投票率が下がった一方で、期日前投票は前回を上回る一二・七〇%でありました。
今回の
鹿児島県議選で鹿児島市は、二十代の投票率を上げようと、初めて鹿児島大学の構内に期日前投票所を設置しました。
選挙コンシェルジュ鹿児島に委嘱された十四人の大学生が自分たちで撮影した動画などを使って投票を呼びかけた結果、二日間の期日前投票では、想定の五百人を上回る六百二十八人が投票しました。
田村新潟大学教授は、「有権者の関心を高め、投票率を上げることが統一選の狙いだが、そうなっていない。多くの自治体で任期のずれが生じている。今のままでは限界があり、制度の仕切り直しも必要ではないかと思っている。十八歳選挙権の導入に当たって、高校生のときから政治に関心を持ってもらうことが、今の空洞化する選挙を変える最後のチャンスかもしれない。今後数年間は学校現場でもさまざまな模索がなされるだろうし、地方議員も彼らにどのようにかかわっていくのか。遠回りかもしれないが、今の問題を解決する鍵になるかもしれない」と訴えております。
選挙を実施する際は、告示日の前日の基準日まで引き続き三カ月以上、その市町村の
住民基本台帳に記録されて居住している人で、選挙期日までに年齢が二十歳に達する人が選挙人名簿に登録されます。今回の
統一地方選挙において、春の定期異動で転任された方々の中には、
不在者投票制度等を利用せず、投票に行かなかった方もいるのではと考えております。
そこで第一点、大学等での期日前投票の状況について伺うとともに、県選管として、今回の
県議会議員選挙における投票率の結果をどう総括するか伺います。
第二点、手軽に期日前投票していただくための
投票所入場券への工夫に取り組む市町村とその効果について伺います。
第三点、四月に実施される選挙において、定期異動者の選挙権行使のための工夫について伺います。
第四点、十八歳選挙権実施に向けた
シチズンシップ教育の現状と課題について伺います。
次に、明治日本の
産業革命遺産九州・山口と関連地域の
世界遺産登録について伺います。
国連の
教育科学文化機関─ユネスコ─の諮問機関であるイコモスから、明治日本の
産業革命遺産九州・山口と関連地域について、
世界文化遺産登録がふさわしい旨の勧告が出されました。
同遺産群は、全国八県十一市二十三資産で構成され、本県では鹿児島市に旧集成館や寺山炭窯跡などがあり、登録が実現すれば、鹿児島の魅力を世界に発信する絶好の機会であり、観光振興、地域の活性化等、大いに期待されるところであります。
一方、韓国、中国は、戦時中の強制労働等、人権の問題を取り上げ、登録反対を主張しております。
そこで第一点、
世界文化遺産登録に向けて、機運の醸成が重要と考えますが、県民への普及啓発の取り組みについて伺います。
第二点、鹿児島の歴史を学ぶ上でも貴重な遺産群でありますが、教育現場での遺産群の活用について伺います。
第三点、観光振興、
地域活性化への取り組みと周辺整備について伺い、一回目の質問といたします。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
4 ◯知事(伊藤祐一郎君)本県教育に対する所感についてのお尋ねがございました。
近年、我が国は、
グローバル化の急速な進展、本格的な人口減少や
少子高齢化の進行など大きな変革期の中にあります。このような中で、教育に関しては、家庭や地域の教育力の低下、子供の学ぶ意欲や学力、体力の低下・規範意識や倫理観の欠如など多くの課題が指摘されており、本県におきましても、児童生徒の学力向上やいじめ、不登校等の問題行動への対応、
特別支援教育の充実、高等学校の活性化、教職員の資質向上など取り組むべき課題があるものと考えております。
しかしながら、本県には教育を大事にする伝統や風土があり、豊かな自然、日本の近代化をリードした歴史、地域に根差した個性あふれる文化、全国に誇れる農林水産業などの産業、さまざまな分野で活躍している人材等の教育的資源が豊富であり、また、地域全体で子供たちを育てるという伝統的な地域の教育力もあるものと考えております。
教育は、将来の社会を担う人材を育成するという、国・地方を通じて取り組むべき最も重要なテーマであります。私は、鹿児島のよき伝統や歴史、風土などのすぐれた特性を生かしながら、知・徳・体の調和がとれた教育がより一層推進され、将来の我が国や鹿児島を担う人材の育成が図られますよう努めてまいりたいと考えているところであります。
5 ◯総務部長(寺田雅一君)地方創生に関する市町村の戦略策定に係る県の調整機能についてでございます。
県におきましては、
地方版総合戦略の策定など地方創生に係る市町村の主体的な取り組みを支援するため、本年四月に三名の専任職員を配置し、市町村からの相談に対応するとともに、各地域振興局・支庁におきまして、管内の市町村との意見交換会を開催し、必要な助言等を行っているところでございます。
市町村におきましては、現在、人口分析や
地域経済分析等が行われているところでありまして、総合戦略の策定に向けた検討は今後、本格化するものと考えております。
県といたしましては、今後とも、市町村における地方創生に関する取り組みが推進されますよう、総合戦略の策定段階に合わせまして、意見交換の場を設けるなど必要な情報提供や助言などの支援を行ってまいります。
6 ◯企画部長(岩切剛志君)地方創生の取り組みに関しまして、
産学官金労言や住民代表の参画等についてであります。
地方創生に取り組むためには、本県の実情に沿った実効性を伴う施策の展開を図ることが重要であり、本県の成長・発展につながる具体的なプロジェクトの掘り起こしが何より重要と考えております。そのため、本県の地方創生の取り組みなどについて、地域の産業や経済等に知見を有する外部有識者による
有識者懇話会─まだ仮称でございますが─を設置し、助言をいただくこととしておりまして、県民の代表である県議会における御議論も踏まえながら、本年度中に総合戦略を策定したいと考えているところであります。
移住・交流促進の取り組みの現状と課題についてであります。
県においてはこれまで、本県への移住希望者を対象に、東京、大阪などでのセミナーの開催やウエブサイトによる情報発信、
ふるさと人材相談室での就業相談のほか、
UIターンフェア等を実施してきたところであります。移住・交流をさらに進めるためには、大都市圏での情報発信や相談体制の充実・強化が重要であり、今年度新たに、移住・交流相談員を東京に配置し、土日の相談にも対応できるようにいたしましたほか、
セミナー回数を大幅にふやし、世代別での開催など、きめ細かな対応に努めているところであります。
国の移住・
交流情報ガーデンについては、イベントの会場としても活用ができますことから、今後、市町村と連携した
移住相談会の開催等を検討してまいります。
県民所得についてであります。
本県の平成二十四年度の一人
当たり県民所得は、円高の継続、世界経済の減速、原油高などの影響で製造業の生産額が減少したことや、企業業績や雇用者の所得が伸び悩む中、消費者の節約志向などから、卸売・小売業の販売額が減少したこと、また、この年の推計において、金融機関の利子所得の推計方法を見直したことなどから、前年度より二万一千円減少し、二百三十八万七千円となったところであります。一方、
東日本大震災の復旧工事の本格化などにより生産活動が持ち直し、伸び率が全国平均を上回る県があり、結果として四十二位になったと考えております。
県民所得の向上は本県にとって重要な課題であり、引き続き、経済・雇用を支える足腰の強い産業の育成など、「日本一のくらし先進県」の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
産業革命遺産に関連しまして、機運の醸成に向けた県民への普及啓発の取り組みについてであります。
本県遺産の県民への普及啓発については、これまで、県内各地での講演会の実施、遺産の背景やこれを支えた人物などを伝えるガイドの育成、小学生への副読本の配付、
各種メディアを活用した情報発信などに取り組んできているところであります。こうした取り組みもあり、
まちづくり団体などが演劇やまち歩き、地域の清掃などの活動を行っているところであります。
本県の遺産は、薩摩藩が日本の近代化の先駆けとなったことを示すものであり、今後の普及啓発に当たりましては、こうしたストーリーを県民に十分周知することにより、さらなる機運の醸成を図ってまいりたいと考えております。
遺産の周辺整備についてであります。
本県の遺産の周辺整備につきましては、
イコモス勧告後の来訪者の増加が見込まれましたことから、鹿児島市や関係企業等とも連携して取り組んできたところであり、これまで、
アクセス道路における案内板の設置や関吉の疎水溝の駐車場の確保、ガイドの配置などを行ってまいりました。
今後とも、来訪者の状況等を見ながら、鹿児島市等と十分連携し、受け入れに必要な整備に努めてまいりたいと考えております。
7 ◯教育長(古川仲二君)新たな教育制度の内容と課題についてでございます。
国においては、奨学金を活用した大学生等の
地方定着促進要綱を制定し、地域の中核企業等を担う
リーダー的人材を確保するため、奨学金を活用した大学生等の地方定着の促進を図ることとされたところでございます。
本県の新たな奨学制度の導入に当たりましては、このような国の基本的な考え方を踏まえつつ、
本県地域産業の担い手となる若者の確保や入学時の経済的負担の軽減を図るため、大学生等が県内に就職した場合の返済を減免する制度や大学等への入学時に一時金を貸与する制度等について鋭意検討中であり、夏までに、対象者の所得要件、貸与額、減免の要件や幅等、具体的な制度設計を行うことといたしております。
次に、
口永良部島の児童生徒の現状と今後の対応についてでございます。
口永良部島の
金岳小・中学校の児童生徒十六人のうち、緊急避難的に屋久島島外に就学した二人を除く十四人は、屋久島島内の学校に通学し、
在校児童生徒と同じ教室で勉学に励んでおります。
金岳小・中学校では、平成二十五年から宮浦小学校と中央中学校を訪問して授業を受ける交流学習を行ってきておりまして、今回のスムーズな就学につながったものと聞いております。
また、県教委では、環境の変化に伴う児童生徒のストレス等に迅速に対応いたしますため、学校からの要請を受け、六月五日、十一日の両日、県の
スクールカウンセラーを緊急派遣して、希望者全員にカウンセリングを行ったところです。
今後とも、
金岳小・中学校と避難先の学校の教職員が一丸となって、きめ細やかな指導に努めますとともに、継続的な
スクールカウンセラーの派遣による児童生徒の心のケアにも努めてまいります。
次に、教育現場での遺産群の活用についてでございます。
これからの社会を担う子供たちが、ふるさとの歴史や文化等を学び、国や郷土に対する深い愛情と誇りを持つことは重要であり、明治日本の
産業革命遺産九州・山口と関連地域は、その観点からも高い価値を有するものと考えております。
現在、小学校六年及び中学校二年の社会科で、幕末の薩摩藩の改革や明治期の産業革命について学習する際、
産業革命遺産を具体的な事例として取り上げております。また、県では、副読本「
かごしまタイムトラベル」を作成し、県内の小学校五、六年生全員に配付いたしており、集成館事業を中心に、日本の近代化に鹿児島が果たした役割等を紹介する教材として活用されております。
今後とも、
産業革命遺産についての学習がより充実し、子供たちの郷土に対する誇りと愛情が育まれるよう努めてまいります。
8
◯保健福祉部長(古薗宏明君)
ネウボラ事業の推進についてであります。
妊娠期から子育て期における相談支援につきましては、市町村において、妊婦教室や新生児訪問、三歳児健診など発育・発達段階に応じたさまざまな相談等が行われております。
国におきましては、核家族化等により、妊娠・出産、子育てに係る父母の不安や負担がふえてきているとの認識のもと、
ワンストップで相談支援を行います
日本版ネウボラとも言うべき
子育て世代包括支援センターの整備を必須とした妊娠・
出産包括支援事業を昨年度末に創設したところでありまして、本県におきましても、取り組む意向を示している市町村があります。
県といたしましては、身近な市町村の
保健センター等において、妊娠期から子育て期に至るまで、総合的かつ継続的な支援が行われるよう必要な助言を行ってまいります。
避難者の生活支援に関する県の取り組みについてであります。
避難されている方々の生活支援に当たりましては、まず、心身両面にわたる健康の保持が重要でありますことから、町や
地元医療機関などと連携し、健康状態を確認するとともに、保健指導等を行っております。また、生活環境を整えるため、入居可能な公営住宅等を確保するとともに、応急仮設住宅の設置に向けまして国や町と協議を行っているところであり、できるだけ早期に入居できるよう取り組むこととしております。
避難の長期化が懸念されます中、今後、生活や仕事などのさまざまな相談が寄せられることが想定されますことから、総合的な相談窓口の設置の必要性について、町と協議することとしております。
県といたしましては、屋久島町や関係機関と緊密な連携をとりながら、避難生活を余儀なくされている方々の生活の安定が確保できるよう全力で取り組んでまいります。
9 ◯危機管理局長(永野 司君)
口永良部島のヘリポートの整備についてでございます。
県及び屋久島町の地域防災計画では、
口永良部島から島外への避難が必要になり、船舶での避難ができない場合には、折崎ヘリポートからヘリコプターにより避難することとされております。
町におきましては、昨年八月の新岳の噴火を踏まえ、整備を進めている番屋ヶ峰避難所付近におきまして、一旦避難した住民が、本村港が使用できない場合に、より迅速に避難できるようヘリポートの適地を選定中であると聞いております。
県といたしましては、進入経路などの技術的な課題や補助金等の活用について、関係機関と連携しながら、町に対し必要な助言を行ってまいりたいと考えております。
10 ◯選挙管理委員会委員長(鎌田六郎君)最初に、期日前投票の状況及び
県議会議員選挙の投票率についてお尋ねがございました。
今回の
県議会議員選挙に際しましては、鹿児島市では新たに二カ所に期日前投票所を設置されました。鹿児島大学では六百二十八人、市勤労者交流センターでは三千九十六人が投票され、鹿児島大学での投票者数は、全国十一大学の投票所の中で最多であったと聞いております。
今回の選挙における投票率の低下につきましては、全国の傾向と同様でございますけれども、近年の政治や選挙に対する無関心層の増大等が影響したものと考えております。
当委員会といたしましては、関係団体と連携を図りながら、若年層を中心に、政治や選挙に対する関心を高め、一人でも多くの方に投票していただくよう根気強く選挙啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、期日前投票に係る
投票所入場券の活用についてでございます。
期日前投票は、当日投票の例外でありまして、投票に際し、有権者は、一定の事由に該当する旨の宣誓書を提出することとされております。この宣誓書は、通常、期日前投票所で記載いたしますが、事前に自宅等で記載できるよう、県内五市では、
投票所入場券に宣誓書様式を印刷しているほか、ホームページから様式を入手できるような工夫をしている団体も見られます。こうした取り組みによりまして、期日前投票所における待ち時間が短縮され、有権者の利便性が向上したと聞いております。
次に、定期異動者の選挙権行使に係る工夫についてでございますが、今回の
県議会議員選挙に関しまして、選挙前に県内で転居された方の投票方法といたしましては、転居前の市町村で行う当日投票や期日前投票、転居先等で行う不在者投票がありました。
当委員会では、市町村の選挙管理委員会及び住民課等へ、連携して転居される方に投票方法についての周知を図るよう通知いたしまして、定期異動の多い職場に対象者への周知を依頼したところであります。
なお、現在、国におきましては、投票用紙のオンライン請求など投票環境の向上や有権者の負担軽減のための方策が検討されているところでございます。
シチズンシップ教育の現状と課題についてでございますが、
シチズンシップ教育とは、社会の構成員としての市民が備えるべき市民性を育成するために行われる教育とされております。
当委員会は、こうした観点も考慮し、小・中学校等におきまして、選挙に関する出前授業や実際の投票箱を使用して模擬投票を行うなど、教育機関等と連携した啓発に力を注いでおり、出前授業の昨年度実績は九校でございました。
現在、選挙権年齢の引き下げが国会で審議中でありまして、今後、教育機関等と連携した取り組みの充実が必要であると考えております。
11 ◯観光交流局長(長野信弘君)
産業革命遺産の
世界文化遺産登録を活用した観光振興の取り組みについてでございます。
明治日本の
産業革命遺産の
世界遺産登録が実現いたしますと、本県の観光振興、ひいては
地域活性化にも大きく寄与することが期待されます。このため、県といたしましては、構成資産のPRはもとより、九州観光推進機構等と一体となって広域的なモデルルートを設定するなど旅行商品化に向けた取り組みを進めているところです。また、観光関係者等を対象とした研修を実施し、案内体制の充実を図ることといたしております。
今後とも、関係機関等と連携を深めながら、本県の構成資産を活用した観光振興、
地域活性化に取り組んでまいりたいと考えております。
[松田浩孝君登壇]
12 ◯松田浩孝君 それぞれ御答弁いただきました。
コメントは最後にすることにして、次の質問に入ります。
夜間中学について伺います。
さまざまな事情で義務教育を修了できなかった人が通う夜間中学。現在は一都二府五県に三十一校が配置され、千八百四十九人が通われております。義務教育の学習機会を充実させる観点から、夜間中学について、文部科学省は昨年、全都道府県に最低一校以上設ける方針を打ち出し、二〇一五年度予算には夜間中学拡充へ向けた予算が盛り込まれました。公明党がかねてから教育機会均等のために主張していた夜間中学支援が大きく前進することとなります。
そこで第一点、本県における義務教育を修了していない人数をお示しいただくとともに、ボランティアが教える自主夜間中学や識字講座の現状、ニーズについて伺います。
第二点は、本県における夜間中学設置への課題について伺います。
次に、改正道路交通法の施行に関連して伺います。
自転車で危険な運転を繰り返す人への罰則が六月一日から強化されました。酒酔い運転など十四項目の悪質運転危険行為で複数回摘発されると、自転車運転者講習の受講が義務づけられます。危険行為をした運転者は、警察官から指導・警告を受け、従わない場合には交通違反切符を交付される。違反切符が三年間で二回以上交付されると、都道府県公安委員会から、三カ月以内に自転車運転講習を受けるよう命じられます。
悪質運転危険行為の中にある安全運転義務とは、具体的にはスマートフォンの操作や音楽を聞きながらの運転、傘差し運転、二人乗り、ほかの自転車との並行運転などで注意を欠き、事故を起こした場合が違反になると想定されております。
そこで第一点、昨年度の自転車関連の事故件数をお示しいただくとともに、今回の改正の悪質運転危険行為の対象となる件数、また、改正の周知について伺います。
兵庫県では、過去十年間で自転車事故が約二倍に増加し、二〇一三年には、小学生が女性をはねた自転車事故で、神戸地裁が保護者に約九千五百万円の損害賠償支払いを命じました。このことから、自転車を利用する人に損害賠償保険加入を義務づける条例が成立され、十月一日に施行されるようであります。
第二点、兵庫県で自転車保険の加入を義務づける条例が全国で初めて成立しましたが、本県も取り組む考えはないか伺います。
次に、地域包括ケアシステムについて伺います。
厚生労働省はこのほど、地域医療介護総合確保基金の総額七百二十四億円で、国費分四百八十三億円と内示されました。この基金は、平成二十六年六月に成立した医療介護総合確保推進法に基づき、介護施設等の整備や介護人材の確保を進めるため、各県に設置することとなっていたものであります。本県においても、この基金を活用して、介護施設の整備や介護人材確保のための事業、さらには地域包括ケアシステムの整備について取り組むことになります。
そこで第一点は、この基金の平成二十七年度本県への内示額をお示しください。また、本県の介護施設の整備や介護人材確保のための具体的な取り組みをお示しください。
既にマスコミで報道されているように、厚生労働省は四月二十八日、第六期介護保険事業計画の全国のまとめを公表しました。全国平均の介護保険料の状況と見込みは、第五期四千九百七十二円、第六期五千五百十四円、平成三十二年度見込み六千七百七十一円、平成三十七年度見込み八千百六十五円でありました。
市町村別に見ると、最高額八千六百八十六円と最低額二千八百円では約三倍の開きがあります。この傾向が続くとすると平成三十七年では、保険料が高い市町村では一万円をはるかに超えるところが出る見込みであります。
高齢者の立場から見ると、二カ月ごとに受給している年金から二カ月分の保険料が天引きされますので、将来的に二万円を超える天引きになることが見込まれます。ことしの年金額は十年ぶりのプラス改定でありましたが、今後、マクロ経済スライドが発動するとますます厳しくなります。各自治体では、介護保険サービスのあり方について、第六期介護保険事業計画期間にどれだけ地域支援事業として軽度者などへの総合事業を実施できるか、重点化・効率化を図る必要が出てまいります。
第二点は、本県における市町村の介護保険料の現状をお示しいただくとともに、各自治体の新しい総合事業への取り組みを県としてどのように支援していくのか伺います。
次に、サービス付き高齢者向け住宅等について伺います。
サービス付き高齢者向け住宅は急激にふえており、四千九百三十二棟、定員十五万八千五百七十九人となっています。今後とも増加が見込まれ、介護保険制度にも大きな影響を与える状況となっております。地域によっては、サービス付き高齢者向け住宅が受け皿となり、特別養護老人ホームの待機者が激減したというところも見られます。
公明党は、昨年の提言の中で、サービス付き高齢者向け住宅に入居されている高齢者が適切なサービスを受けることができるよう、行政指導の基準となるガイドラインを策定すべきと主張し、今回、有料老人ホームのガイドラインが見直され、サービス付き高齢者向け住宅もこのガイドラインの対象となり、今後、七月一日までに各自治体のガイドラインが見直されます。
有料老人ホームについては、未届けの施設が多くあることが指摘されており、厚生労働省では三月にその状況を発表し、北海道や神奈川県、愛知県、大阪府など、限られた自治体に多くあることが明らかになっております。先般の名古屋市内における火災事故のように、適切な運営が求められており、有料老人ホームへの指導内容も緩和し、届け出を進めるよう取り組みが行われているところであります。
佐賀県では、公的な制度の範疇におさまらない地域の拠点として存在する宅老所について、認定宅老所を設置し、防災対策整備に対する補助を行っております。
そこで第一点は、各自治体内で有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅がどの程度整備されるのか、お示しください。
第二点は、国の有料老人ホームガイドラインの見直しを受け、本県のガイドラインの改正をどのようにするのか伺います。
第三点は、有料老人ホームにならない宅老所の把握状況について伺うとともに、佐賀県が取り組む認定宅老所についてどのように評価されるのか伺います。
第四点は、サービス付き高齢者向け住宅の運営状態がガイドラインに沿う内容となっているのか調査すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、特に、入居者の囲い込みなどの実態がないか、介護保険の財政運営に影響がないかなどの調査もすべきでありますが、本県の対応について伺います。
第五点は、介護保険制度上、有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅について、特定施設入居者生活介護の指定がどの程度なされているか伺います。
次に、生活困窮者自立支援制度について伺います。
生活困窮者自立支援法が四月から施行されました。病気や失業、借金などで生活に困窮している人を生活保護を受ける手前から支えることを目的に、福祉事務所がある自治体に相談窓口が設置されます。窓口の支援員は、一人一人の状況に合わせて就労訓練、住宅確保給付金の支給、子供の学習支援などの支援プランを作成します。
子どもの貧困対策推進法に基づき、政府が昨年策定した子どもの貧困対策に関する大綱を踏まえ、現在、各都道府県が、努力義務ながら、子どもの貧困対策計画づくりを行っているところであります。法に基づき制度を立ち上げても、県民がこの制度を知らなければ成果は得られません。また、生活困窮者自立支援制度の対象は限定されておりません。従来の課題別、対象別の制度ではないということを十分理解することが必要であります。
そこで第一点は、本県の相談窓口の設置状況と制度のきめ細やかな周知について伺います。
そもそも生活困窮者の方は、みずからSOSを発することが難しい方々であります。アウトリーチを含めた相談体制や、地域の関係機関や部署との連携体制を構築し、早期発見・早期支援が重要であります。例えば、多重債務等の相談でキャッチしたら、御本人の同意の上、関係部署、関係機関からこの窓口を紹介し、着実に支援につなげるという仕組みは、どの自治体でも取り組みやすいと思いますし、制度の効果を高めることになると思います。関係部署や関係機関との連携を強化し、早期発見・早期支援の体制を構築することが必要であります。
第二点は、相談後の出口戦略として就労準備事業と家計相談事業を実施すべきと考えますが、見解を伺い、二回目の質問といたします。
13 ◯教育長(古川仲二君)夜間中学についてのお尋ねのうち、本県の義務教育未修了者数、自主夜間中学等の現状等についてでございます。
国勢調査では、小学校に在学したことのない者、または小学校を中途退学した者を未就学者として調査しておりまして、平成二十二年度の国勢調査によりますと、本県では三千四百四十八人が未就学者となっております。
文部科学省の全国調査によりますと、識字教室につきましては、本県には、公民館等における外国人のための日本語教室が一件開設されております。また、中学校夜間学級等の設置促進に関する要望等が出された市町村はございませんが、十市町村においては、夜間学級の設置に関し、国の動向を踏まえて検討したい旨、回答いたしております。
次に、夜間中学校設置の課題についてでございます。
中学校夜間学級、いわゆる夜間中学とは、市町村設置の中学校において、通常の授業に加え、夜間にも授業を行うものであり、その設置については市町村
教育委員会が判断するものと考えております。設置に当たっては、継続的な入学者の見込み、施設設備の確保、教職員配置、個人差等を考慮した指導のあり方等の検討が必要と考えております。
また、市町村教委が、それぞれの状況により、中学校夜間学級のほか、自主夜間学級や識字学級等の充実も含め、さまざまな支援のあり方を検討することが重要であると考えております。
県教委といたしましては、各市町村の状況を踏まえながら、中学校夜間学級等に係る今国会における立法化の動きも注視してまいりたいと考えております。
14 ◯警察本部長(種部滋康君)昨年度の自転車関連の事故件数等と改正の周知についてでございます。
交通事故に関与した自転車運転者の多くに法令違反があることなどから、自転車の交通事故を防止するため、自転車の運転に関し、交通に危険を及ぼす違法行為を反復して行うなど、将来的に交通の危険を生じさせるおそれがあると認められる者に対し、自転車の運転による交通の危険を防止するための講習の受講を命じる制度が、本年六月一日から施行されているところであります。
本県では昨年、平成二十六年中、自転車運転者の交通違反の検挙はありませんでしたが、自転車関連事故が全人身事故件数の約八・五%に当たる七百十六件発生しております。そのうち二十一件が自転車講習の対象となる違反行為を伴う事故として事件送致しているところであります。
また、今回の講習制度に関する県民への周知につきましては、交通安全教室や各種講習等で行っているほか、テレビ、ラジオ、新聞等による広報にも努めているところであります。今後も引き続き、県民への周知に努めてまいります。
15 ◯県民生活局長(三角浩一君)自転車保険の義務化についてでございます。
全国で自転車の安全利用に関する条例を制定している自治体は六都府県あり、兵庫県を除く五都府県では、自転車保険への加入については努力義務となっております。本県につきましても、自転車による重傷事故が毎年発生しておりますことから、交通安全県民運動の重点項目として自転車の安全利用を掲げ、街頭キャンペーンなどを行っております。
県としましては、自転車保険への加入を義務づける条例の制定までは考えておりませんが、自転車の交通事故防止は重要であると考えておりまして、引き続き、関係機関・団体とも連携しながら、自転車保険への加入促進を含めて、自転車の安全で適正な利用の推進に努めてまいります。
16
◯保健福祉部長(古薗宏明君)地域医療介護総合確保基金の介護分についてでありますが、今年度の国庫内示額は、介護施設等の整備に約五億八千万円、介護従事者の確保に約八千万円となっております。この基金を活用いたしまして、介護施設等の整備につきましては、地域密着型特別養護老人ホームの整備等への助成を行うこととしております。
また、介護従事者の確保につきましては、介護職への参入を進めますため、若い世代を中心にその魅力を広く伝えますとともに、新人職員の定着・育成を図りますため、その指導を担当する職員の資質の向上などに取り組むことといたしております。
市町村の介護保険料の現状等についてであります。
県内市町村の第六期の介護保険料は平均で五千七百十九円、最高が七千三百円、最低が二千八百円となっております。新しい介護予防・日常生活支援総合事業につきましては、本年四月から五市町が取り組んでおります。
県といたしましては、平成二十九年四月までに全市町村が円滑に実施できるよう、高齢者元気度アップ
地域活性化事業を活用した地域の互助活動等を促進いたしますとともに、生活支援コーディネーターの育成や先行事例の情報提供などの支援を行ってまいります。
次に、有料老人ホーム等の現状についてであります。
本年四月一日時点の県内の有料老人ホームの届け出数は二百六十九施設で定員六千百二十六人、サービス付き高齢者向け住宅の登録数は八十一施設で二千戸であり、いずれも年々増加してきております。
有料老人ホーム設置運営指導指針の改正についてであります。
本年七月から適用されます改正後の国の指針を踏まえまして、サービス付き高齢者向け住宅のうち、食事の提供など有料老人ホームの定義に該当する事業を行うものにつきましては、指針の対象として位置づけるとともに、事業者が入居者によるサービスの選択等を阻害してはならない旨を明確にすることなどを内容とする鹿児島県有料老人ホーム設置運営指導指針の見直しを近く行うこととしております。
宅老所の把握等についてであります。
いわゆる宅老所につきましては、統一的な定義がありませんことから、その状況を把握することは困難でありますが、通所介護の設備を利用して介護保険制度外で高齢者を宿泊させる、いわゆる、お泊まりデイにつきましては、県内で九十四事業所が実施しておりますことを昨年九月の調査により確認しております。
佐賀県の認定宅老所は、サービスの質の確保を目的とした事業者団体の自主的な認定制度であり、その多くがお泊まりデイに該当すると聞いております。お泊まりデイにつきましては、最低限の質を担保いたしますため、国が運営等の指針を定め、本年四月から届け出を義務づけたところであり、県におきましては、今後、国の指針に基づきまして、実施事業所に対し適正な運営がなされるよう指導してまいります。
サービス付き高齢者向け住宅の運営状態の調査についてであります。
県といたしましては、見直し後の有料老人ホーム設置運営指導指針に基づきまして、対象となるサービス付き高齢者向け住宅につきましては、定期的な立入調査を実施し、適正な運営がなされているか。特に、運営事業者による囲い込みなどの実態がないか確認するなどいたしまして、必要な指導を行っていくこととしております。
囲い込みなどによる過剰なサービスが提供されますと、介護保険の財政運営への影響が懸念されますことから、市町村が行うケアプランチェックへの支援や実地指導を通じまして、介護給付の適正化が図られるよう努めてまいります。
特定施設入居者生活介護の指定状況についてであります。
県内で特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設は、本年四月一日時点で、有料老人ホームが五十施設、定員千七百五十三人、サービス付き高齢者向け住宅が二施設、定員五十人となっております。
生活困窮者の自立支援のための相談窓口の設置状況等についてであります。
生活困窮者自立支援法に基づきまして、県内では十九市二町、県の地域振興局・支庁が相談窓口を設置しておりまして、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持できなくなるおそれのある方、いわゆる生活困窮者ですけれども、こういう方から相談を受けまして、必要に応じて、自立支援計画の作成や住居確保給付金の支給等の支援を行っているところであります。
また、県では、相談支援機能の充実を図りますため、関係機関から成る連絡会議におきまして、情報の共有と連携の強化を図るとともに、研修会の開催等により、相談支援員の資質の向上に取り組むこととしております。
この制度を県民の方々に周知するため、県政かわら版による広報を行いましたほか、制度の概要を掲載したパンフレットを作成し、市町村や社会福祉協議会等の窓口で配布するとともに、各種福祉団体等に対し、制度に関する説明会を開催しているところであります。
就労準備支援事業と家計相談支援事業の実施についてであります。
生活困窮者の自立に向けましては、生活習慣の形成のための訓練や社会的能力の習得、就労のための技法や知識の習得等について支援が必要な場合や、家計収支の改善、家計管理能力の向上等のための支援が必要な場合など、さまざまなケースが想定されまして、生活困窮者一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を行うことが重要であると考えております。
このようなことから、県といたしましては、今年度の自立相談支援事業の実施状況等も踏まえまして、今後、御指摘の就労準備支援事業や家計相談支援事業など、生活困窮者自立支援法に位置づけられました各種事業の実施について検討してまいりたいと考えております。
17 ◯松田浩孝君 自席より、教育長に一点だけ再質問させてください。
夜間中学について質問いたしました。未就学者は三千四百四十八人で、確かに市町村が判断する設置だと思うんですが、県教委として夜間中学の設置は必要だとお考えなのか、お聞かせください。
18 ◯教育長(古川仲二君)先ほど御答弁申し上げましたように、夜間中学の設置の必要性については、まさに地域の実情を踏まえて、第一義的には市町村
教育委員会において御判断いただくということであろうと思っております。そして、いろいろ御相談がございますれば、私どもとしては、全県的な立場からアドバイス、御支援を申し上げたいと思っているところでございます。
[松田浩孝君登壇]
19 ◯松田浩孝君 それぞれ御答弁いただきました。
奨学金につきましては、鹿児島に帰ってきて働きたい若者はたくさんおります。しかし、給料が低いということ、雇用がないと思っているミスマッチがあります。かごしまニューライフプランの中に、「若者世代については、就職に際し、安易な大企業志向などから県内の中小企業等を就職先と考える意識が薄い現状があり、このことが、雇用のミスマッチの一因となっている面があります」と提言されております。
そこで、鹿児島に帰ってきて就職することで奨学金返還が減免される制度の導入によって、まずは帰ろうとのインセンティブになると考えます。保護者も安心して県外の大学へ送り出すことができると考えます。中央から一番遠い県だからこそ取り組むべきだと強く要望しておきます。
県議会に地方創生に関する特別委員会も設置される予定であります。県の調整機能を発揮して、若者世代の移住も含めた流入人口の増加のために、移住・交流促進により一層取り組まれるよう要望しておきます。
期日前投票を推進するための
投票所入場券の工夫については、四市町村が取り組んでいるとお聞きしました。県選管としてさらなる推進をしていただきたいと申し上げます。
明治日本の
産業革命遺産九州・山口と関連地域の
世界遺産登録については、国民文化祭の鹿児島開催に比べると、県民の機運醸成はいま一つの感がいたします。また、軍艦島など、ほかの地域と比べても情報発信が弱いと感じます。鹿児島県の魅力を世界に情報発信する絶好の機会であります。観光振興、
地域活性化の絶好の機会でありますので、周辺の整備も含めて、万全な取り組みを要請いたします。
最後に、安全保障を取り巻く環境はさま変わりしております。この変化に対応して、国民の命と暮らしを守り、国際社会の平和と安全に貢献していかなければなりません。今国会に提出された平和安全法制の関連法案の本来の目的はシンプルでわかりやすいものです。
問題は、法律の中身となると、安全保障にかかわる専門的な言葉が多く、難解なことであります。例えば、自衛隊の出動が想定される○○事態という用語が飛び交うと腰が引けてしまう。計十一本もの法案のポイントを押さえるだけでも大変です。このわかりにくさも一因してか、野党の一部などが、戦争法案、アメリカの戦争に巻き込まれると不安をかき立てております。今回の法案は、武力行使は日本防衛のために限るとする専守防衛の理念を堅持しており、一連のレッテル張りは、PKO法のときの大騒ぎと同じで根拠のない言いがかりにすぎません。
公明党は、与党協議を通し、自衛隊の海外派遣に国会の事前承認などの歯どめをかけました。拓殖大学の森本教授は、「公明党は健全な抑制要因となった。与党内で野党的役割を果たした結果、バランスのよい法制になった」と評価しております。国会において、丁寧かつわかりやすい説明で、無責任なレッテルを剥がし、国民の間にある不安感を解消していただきたいと申し上げ、質問を終わります。(拍手)
20 ◯議長(池畑憲一君)次は、永田憲太郎君に発言を許可いたします。
[永田憲太郎君登壇](拍手)
21 ◯永田憲太郎君 自由民主党の一員といたしまして、一般質問をいたしてまいります。
ただいまの松田議員と重複する部分がありますので、できるだけその
重複部分は避けて質問したいと考えておりますが、何しろ直後ということで時間的な問題もありまして、調整不能であります。したがいまして、重複した部分については賞味期限切れみたいな部分もあるかもしれませんけれども、お許し願いたいと思います。
まず最初に、地方創生について質問いたします。
我が国は、二〇〇八年に
人口減少時代に突入したとお聞きいたしております。今後は加速度的に人口が減少していくということであります。厚生労働省の人口問題研究所の発表によりますと、二〇六〇年は八千六百七十余万人に減少するということだそうです。その五十年後の二一一〇年は四千二百八十六万人と推計値が出されております。現在の一億二千万人から急速に人口が減少していって、四千万人台まで人口が減っていくというわけでありますから、これはすさまじい人口減少の流れであります。
国は、二〇六〇年に一億人を確保するといった目標を立てまして、まち・ひと・しごと創生事業に乗り出しました。国の分析によりますと、人口減少の原因は、大都市圏では超出生率低下を挙げております。また地方においては、出生率の低下とともに、首都圏への人口流入、これが大きな原因だと言っております。
このような原因を踏まえまして、人口減少に歯どめをかける、これが今回の地方創生のミッションであります。この地方創生のミッションに基づいて、国は、地方に総合戦略策定を求めているわけでありまして、それが今日の課題であると認識いたしております。
一方、本県は、かごしま将来ビジョンを二〇〇八年に作成いたしております。かごしま将来ビジョンの人口動態の将来像によりますと、二〇〇六年は約百七十四万人の本県の人口が二〇三五年、約三十年後には三十年間に約三十五万四千人減少するという推計値を出しております。鹿児島の人口が約百三十九万人まで落ち込んでいくというわけであります。
しかし、かごしま将来ビジョンあるいはニューライフプラン等で、本県は、現状と課題を検証して取り組みの方向性を指し示すことはできても、予算の裏づけが大変薄いために、この取り組みを推進するにおいて、ダイナミックな推進はなかなかできてこなかったと、私はそう認識いたしております。
人口減少対策は、一地方、一県だけでできることではもちろんないわけでありまして、地方だけでこれを推進するということは大変なことで、まず不可能に近い話でございます。今回、国は、年間一兆円を地方財政計画の枠にはめ込みまして、そしてこれを五年間継続していくと言っております。いわゆる地方創生事業、この流れに乗らないということはないと考えるわけであります。私どもは今回のこの地方創生の流れに乗って、そして地方の活性化、まずこのことを実現していかないといけないと考えます。
地方創生につきましては、各自治体において、末端自治体においても既に取り組みが始まっているようでありますが、そのほかにも全国さまざまな分野から参入の情報が入ってきております。一つには、日本政策投資銀行は、地方創生の取り組みの一環として、地域の銀行と提携して、観光や食といったテーマごとに支援体制をつくっていく地域みらいづくり本部を設置いたしたとお聞きいたしました。そのモデルケースとして、先般、新聞紙上で報道されておりましたけれども、中四国六地銀との提携と大見出しで出ておりました。これは、日本政策投資銀行と地域の六地銀が提携して、瀬戸内海地域の観光を支援していこうという取り組みだそうであります。
そして、日本政策投資銀行と地銀との提携のほかに、兵庫、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛の七県でつくる瀬戸内ブランド推進連合という組織があるそうですが、いわゆる地域との連携もつくっていくといった取り組みが伝わってまいります。
本県においても、鹿児島銀行の上村頭取が、「鹿児島県内の総合戦略策定に当たっては鹿銀としても全面的に御支援申し上げたい」といった談話を発表いたしておりますし、鹿児島相互信用金庫も、銀行業務の遂行の一環ではあるかもしれませんが、ビジネスマッチングやあるいは地域貢献活動ということで、地域との連携を模索しているとお聞きいたしております。
ビジネスマッチングにおいては、昨年十月に、そうしんまるごと食・観商談会in薩摩川内市を開催いたしております。薩摩川内市地区の事業者五十一社を含めて、二万二千五百人が参加したという報告がありますが、この中には、中国大連市や香港、韓国等のバイヤーもたくさん集まって商談会が開催されたそうでありますし、同じようなビジネスマッチングでありますけれども、指宿でも開催されたという報告があります。
またかわって、民間有識者会議の日本創成会議、ここが首都圏の医療と福祉を課題といたしまして、地方において医療・介護面での受け入れ体制が整っている地域に首都圏の高齢者を移住させたらどうかといった提言をいたしましたと報道されておりましたけれども、早速、まち・ひと・しごと創生会議でこのことを受けとめている記事が出されております。まち・ひと・しごと創生会議では、日本創成会議の提案を受け入れまして、日本版CCRC構想を推進しようとしているとお聞きいたしております。
このようにして国は、
産官学金労言、先ほど松田議員の発言の中にもございましたが、これらの総力を挙げて地方創生を推進していくといった姿が見えてくるわけであります。
このようなことを踏まえまして、以下質問いたしてまいります。
本県の人口減少に歯どめをかけて地域の活性化を創生するためには、本県の南に開かれたアジアの玄関口としての地理的優位性など地域特性や可能性を生かしながら、総合的な取り組みを行っていく必要があると思います。
地方創生について、県は、どのような体制で、そしてどの点に重点を置いて取り組むおつもりなのか、知事の見解をお伺いいたします。
また、県は、鹿児島県版の地方創生総合戦略の策定に向けて、地方創生推進本部を設置いたしております。本県の総合戦略を実効性のあるものにするためには、地方創生の推進体制やプロジェクトが重要であると思われることは理解できるわけであります。
ただ、国は、
地方版総合戦略の策定に当たっては、例えば、
産官学金労言などで構成される推進組織で審議するなど、広く関係者の意見が反映されるようにすることが重要であるとしております。庁内の推進組織で検討を進めるだけでなく、早い段階で外部の有識者の意見を聞き、施策に反映することも必要であると思われますが、有識者の参画について県としてどのように考えておられるか、お尋ねいたします。
第三点目といたしまして、地方創生は、我が国の喫緊の課題であり、市町村とも情報共有や意見交換等を行いながら、連携して地方創生に取り組む必要があります。市町村においては、地域の特性や地域資源を生かした取り組みや地域住民の意見を踏まえたさまざまな主体と連携した取り組みに加え、経済、文化、地理的状況等の観点から、周辺市町村等との広域的な連携・協調などの視点を踏まえた取り組みも重要であると考えられます。地方創生に関する市町村における広域的な連携について、県はどのように考えておられるかお聞かせください。
第四点といたしまして、地方創生の取り組みについては、県内のみにとどまらず、県域を超えた連携した取り組みも必要と考えますが、九州各県あるいは南九州三県と連携した取り組み状況について、どのように考えておられるか、お伺いいたします。
最後に、地方創生の財政的な問題についてお伺いいたします。
地方創生の財源確保については、国で地方財政計画の中に一兆円枠を設けて、これを五年間継続すると言っておられますけれども、その一方で、国は、二〇二〇年にプライマリーバランスを黒字化するといった計画を持っているとお聞きいたしております。そして、二〇一八年にGDP比三・三%の赤字を一%にまで縮小するとも言っております。
そのため、このような背景を考えるときに、今後、国が財政健全化に取り組む中で、まち・ひと・しごと創生事業費や地方創生関連の交付金などが縮小されて、地方創生の推進に支障が生じることが懸念されます。私は、このことについて県はどのように考えておられるのか、今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねしたいと思います。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
22 ◯知事(伊藤祐一郎君)地方創生についてのお尋ねであります。
地方創生は、人口減少、
少子高齢化が急速に進展する中、国と地方が総力を挙げて取り組まなければならない課題でありますが、県におきましては、地方創生に取り組むためには、何よりも本県の成長・発展につながる具体的なプロジェクトの掘り起こしが重要であると考えております。このため、四月に、実務的なメンバーによります地方創生推進本部を設置し、平成二十七年度中に本県における総合戦略を策定することといたしております。
策定に当たりましては、本県の地域特性や可能性を最大限に生かしながら、県民一人一人が生涯安心して働き、安定した生活を送ることができますよう、従来の少子化対策や産業振興対策、定住や移住の促進など地域経済活性化のための諸施策の充実を図りますとともに、何よりも、本県の基幹産業である農業を初めとする第一次産業や観光産業などの重点的な振興を図ることが重要であると考えており、県といたしましては、これまでの関連施策の充実に努めるとともに、市町村とも連携を図りながら、本県の将来を見据えた実効性を伴う施策の展開に努めてまいりたいと考えております。
23 ◯企画部長(岩切剛志君)地方創生推進のための有識者の参画についてであります。
地方創生に取り組むためには、本県の実情に沿った実効性を伴う施策の展開を図ることが重要であると考えておりまして、本県の成長・発展につながる具体的なプロジェクトの掘り起こしが何よりも重要であると考えています。そのため、総合戦略の策定に当たりましては、県民の代表である県議会における御議論も十分に踏まえますとともに、本県の地方創生の取り組みなどについて、今後、地域の産業や経済等に知見を有する専門家などの外部有識者による
有識者懇話会─仮称─を設置し、必要な助言をいただくこととしているところであります。
九州各県との連携についてであります。
昨年十二月、九州・山口地域の知事と九州の経済界の代表が参加する九州地域戦略会議におきまして、地域の特徴や地理的優位性を生かし、九州・山口地域が一体となって取り組む地方創生の具体的取り組みを企画立案することを目的として、分野別にプロジェクトチームを設置したところであります。
具体的には、しごとの場づくり、教育環境づくり、出産等の希望が叶う社会づくり、安心・安全なくらしづくりの四つのプロジェクトチームを設置し、九州・山口地域が一体となった具体的取り組みを検討しているところであり、先日開催されました戦略会議において中間報告がなされたところであります。
今後、戦略会議において、九州・山口地域で連携した取り組みについてさらに検討し、最終報告を行うこととしており、県としましては、今後とも九州各県との連携も図りながら、真の地方創生の実現に向けて努めてまいります。
24 ◯総務部長(寺田雅一君)地方創生に係る市町村の広域的連携についてでございます。
市町村が地方創生の取り組みを進めるに当たりましては、複数市町村が連携して、広域観光や都市と農村の交流などに取り組むことも期待されているところでございます。県におきましては、市町村職員を対象とした説明会や各地域振興局・支庁等で開催した管内市町村との意見交換会等におきまして、総合戦略等の検討に当たりましては、広域的な視点も踏まえるよう助言等を行っているところでございます。
これまで、奄美大島の五市町村は共同で人口ビジョン及び総合戦略を策定し、島内の広域的な連携、施策のより一層の充実を図ることとしておりますほか、指宿市等三市一町におきましては、連携して海外からの観光誘客や海外での販路開拓に取り組むこととするなど、広域的な連携の動きが見られるところでございます。
県といたしましては、今後とも、広域的な連携も含めまして、市町村における地方創生に関する取り組みが推進されますよう、情報提供や助言などの支援を行ってまいります。
次に、地方創生のための財源確保についてでございます。
人口減少を克服し、地方創生を実現するためには、国と地方が連携・協力して対応するとともに、地域の実情に応じた取り組みを行うことが重要であり、財源措置につきましては、地方が自主性、主体性を最大限に発揮できる継続的な仕組みが必要であると考えております。
そのため、県といたしましては、国に対し、地方公共団体の自由度が高い包括的な交付金を創設するとともに、地方公共団体が自主的な取り組みを行うことができるよう必要な歳出額を地方財政計画に計上し、地方交付税を充実すること、また、その配分に当たりましては、離島や過疎地域など条件不利地域に十分配慮した仕組みとすることにつきまして、県開発促進協議会や全国知事会等を通じまして、引き続き要望を行ってまいりたいと考えております。
25 ◯永田憲太郎君 自席から二点だけ質問させていただきます。
県は、「鹿児島版地方創生総合戦略については、庁内推進本部を設置して、従来のプロジェクトを掘り起こす」と三月議会で答弁しておられますし、また、今回もそのような答弁をいただいたところであります。従来のプロジェクトについて、これは事務的作業だけではなく、検証を加えて再構築するという意味合いも含んでいるのではないかと思うわけでありますが、私は、そういうことであれば、ぜひ早期での
有識者懇話会といったものを開催していただき、その方々の意見も聞くべきだと考えておりますが、このことについての御意見、御答弁を賜りたいと思います。
次に、国は、
産官学金労言というワードを使って、幅広い外部有識者の意見を反映することを求めていますが、私は、そのほかに民の立場を加えるべきだと考えております。県議会では特別委員会を設置する方向で今、進んでおりますので、この県議会での審議が民の立場を代表するものになるといった考えもございますけれども、国は、女性、若者、高齢者などあらゆる人の協力・参画という表現で、民の取り込みを促しております。
県としては、地方創生総合戦略策定に当たって、民の立場をどのように捉えておられるのか。さらに、推進本部の中に民の参加を考えるべきだと思いますが、この件についても御答弁をお願いいたします。
26 ◯企画部長(岩切剛志君)県の総合戦略を進める上で、早期の民の参加等々についてのお尋ねがありました。
先ほど御答弁申し上げましたが、地方創生に取り組むためには、本県の成長・発展につながる具体的な実効性のあるプロジェクトを構築していく必要があると考えておりまして、現在、全庁的な体制であります県の地方創生推進本部において検討を進め、今後、県議会の御議論を踏まえて、総合戦略を策定していきたいと考えているところであります。
有識者懇話会─まだ仮称でございますけれども─につきましては現在、設置に向け必要な作業を鋭意進めているところでありますが、お話にありました本県の実情等に対する御意見等もいただけるような観点も含め、メンバーの検討を行っているところであります。
[永田憲太郎君登壇]
27 ◯永田憲太郎君 総合戦略の中で、
有識者懇話会の設置というのを考えておられる旨の答弁をいただきました。ぜひそのような方向で進めていただきたいとお願いするわけであります。
世に、お膳立てという言葉があります。ごちそうをつくって並べて、さあ食べなさいということでありますけれども、「これについて何か意見を言ってください」といいましても、お膳立てされた料理については、お膳立て以外の料理をなかなか頭に浮かばないだろうと思うんですね。お膳立てする前に、一緒に有識者の方々とお膳立てしていくといったような姿勢が必要じゃないかと考えまして質問したわけでありますので、よろしくお願い申し上げます。
また、九州・山口地域における戦略会議を設置しているとのことでありまして、このことについては大いに賛成するところであります。鹿児島が今後、環黄海経済圏の中でどういった役割を果たしていくのか、そして日本の中でどのような立ち位置でこのことを進めていくのか、そういうことが鹿児島の今後の進め方として非常に特徴のある、そして説得力のある言葉になってくると思います。九州の中で鹿児島が果たす役割、このことを明確にお互いに認識していく必要があると思うわけであります。
それでは、若者の雇用対策について質問いたします。
平成二十七年三月卒業生の就職内定率が公表されております。ことし三月卒業していった高校生の就職内定率でありますけれども、高校生は九九・一%とお聞きいたしました。短大生は九七・四%、大学生は九三・三%となっておりまして、一時期からすると非常にいい数字になってきているなといった感想を持つわけであります。
このことをリーマンショック後の平成二十二年三月と比較してみますと、その数字の差異がはっきりと感じられるわけであります。高校生の場合、この時点で九五・七%と発表されております。短大生は九〇%を切っており、八三・五五%。大学生も八二・七%、こういった状況であったわけであります。
学校を卒業してもあしたからする仕事がない、これほど惨めなことはないなと思うんです。あのリーマン・ブラザーズ倒産後の世界的な大不況が吹き荒れた状況の中で、雇用が相当冷え込んでいきましたが、このような中で、若者の雇用を求める社会的な声がエモーショナブルに響いていたのを思い出します。
麻生政権のときだったと記憶いたしておりますが、このときに緊急雇用創出事業臨時特例基金事業が創設されて、こういった若者に対する就職の支援体制が整ったと認識いたしております。本県はことし、この事業に基づいて七億二千万円を計上しておりますけれども、この事業もことしで終了とお聞きいたしました。数年前のあの雇用の冷え込みを考えますと、隔世の感がするわけでありますけれども、しかしながら、これは、卒業していく新卒業生が、あしたから働く場所が既に内定しているといった状況がはっきりと見えてくるわけでありますので、大いに歓迎したいことだと思っております。また、今後は、未内定のまま卒業した未就職者に対しましては、若者就職サポートセンター、あるいはハローワークのジョブサポーター等において、早期就職が決定するように支援しているとのことでありますので、ひとまずは安心といったようなことであります。
このように手厚い雇用支援の中で、この数年間、私は若者の雇用状況について調査もし、発言もしてまいりましたけれども、若者の雇用環境が改善されつつある中で、それでも若者の離職率の状況といったものは一向に改善されていないということが非常に気がかりであります。このことについて問題意識を持っているわけであります。
社会や学校や家庭や周りが応援してせっかく就職しても、三年内で離職していく若者が後を絶ちません。四十数%の若者がせっかく就職した職場から離れていっております。これは本県だけの問題ではありません。全国的な傾向であるとお伺いいたしております。
このことは、新たな若者の雇用対策としての課題であろうと考えまして質問するわけでありますけれども、県内の新規学卒者の早期離職率の状況とその対策についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
ことしの四月二十六日に東京で、UIターン就職応援フェアin東京が開催されたとお聞きいたしております。商工会議所と県の共催だったということであります。このフェアに参加した企業等の中で、大変好評だったとお聞きいたしまして喜んでいるところでありますが、このフェアに県の積極的な姿勢が見えてこなかったことは気になっているところであります。
しかしながら、県は、来年三月に同様なフェアを開催するという予定を持っておられるとお聞きいたしました。来年三月には、大学生の就職活動解禁の時期に合わせて、従来から開催している福岡での企業説明会に加えて、東京、大阪でも企業説明会を開催していくとのことであります。国が進めようとしている、まち・ひと・しごと創生事業の中で、首都圏一極集中を変えていこうといった政策が追い風になっていくのではないかと考えまして期待するところでありますが、質問いたします。
鹿児島県UIターン就職応援フェアin東京、この開催に当たって、関係団体との連携・協力体制を含めた今後の取り組みについて教えていただきたいと思います。
質問の第三点であります。
新規高卒者の県内就職率を高めるためには、鹿児島県内企業の学卒求人の早期提出が肝心であると私は要望して発言してまいりましたが、県は、このことを真摯に受けとめていただいて、雇用ローラー作戦に取り組んでいただいているところであります。また、今年度は、昨年より一カ月前倒しして六月十一日に要請活動を行ったとお聞きいたしておりますが、緊急ローラー作戦の成果、そして課題をお聞かせください。
質問の第四点であります。
若者が夢と誇りにあふれて社会に巣立っていく姿を眺めているのは大変喜ばしい光景であります。願わくばこの若者たちが自分の希望する職場を得て、そして生きがいの持てる仕事にめぐり会ってほしいものだと考えます。そのために、私は議会でたびたびインターンシップの必要性を訴えてまいりました。インターンシップの実施状況は、高校教育課で、平成二十五年においては七十一校、八千五十三人がインターンシップを経験しているとのことでありますが、以前、原田教育長のときにこのことをお尋ねいたしましたら、その御答弁の中で、「インターンシップは非常に大事である」とお答えになったのを覚えているわけであります。
新社会人として社会に出るに当たり、職業観や勤労観を醸成しておくことは大変重要なことであります。また、新卒者の三年以内の早期離職状況を見てみますと、離職に際する仕事観、家庭環境の影響も大きいと思われます。そのような意味から、社会に通ずる仕事観や職業観、勤労観を育成するためにインターンシップは大変有用であり、できれば幼稚園や小学校といった早い時期から取り組むべきであると私は考えております。
そこで、新しく古川教育長が就任されたわけでありますので、お尋ねしたいわけでありますが、インターンシップの必要性についての新教育長としての御認識をお聞かせ願いたいと思います。
これで、二回目の質問といたします。
28 ◯商工労働水産部長(武盛武士君)若年者の雇用対策についてお尋ねがございました。
まず、県内における新規学卒者の早期離職状況についてでございます。
三年以内の離職率は、平成二十三年三月の卒業生の場合、高校生四六・三%、短大生三九・一%、大学生三八・五%で、短大生を除き、全国平均より高い状況です。
早期離職の防止対策としましては、高校生を例にとりますと、高校一、二年生時に、職場見学を通じて県内企業への理解と認識の醸成を図りますとともに、インターンシップにより職業意識の高揚を図っております。三年生の就職活動時には、実際の仕事や職場への理解を深めるため、夏休み中に求人事業所の職場見学を行っています。また、内定後は、採用までの間を利用してビジネスマナー等の講座を開催しており、採用後は、職場定着のためのセミナーを実施するなどしているところでございます。
これらの国や関係機関とも連携した取り組みなどを通じまして、今後とも、新規学卒者の早期離職の防止に努めてまいります。
次に、就職応援フェアの成果と今後の取り組みについてでございます。
本県では、人口減少社会を迎える中、特に若者の県外流出が課題でありまして、県内高校生や大学生の約半数が県外に就職しています。また、大学進学者約六千人のうち約四割が、福岡圏、首都圏、関西圏に進学しています。
地方創生において、地方への新しい人の流れをつくるためには、都市部の大学への進学者等を対象とした取り組みの強化が必要でありますことから、これまで福岡のみで開催しておりました企業説明会を、大学生の就職活動が解禁となる来年三月から、新たに東京、大阪でも開催することといたしました。
一方、鹿児島商工会議所から、来春の卒業予定者等を対象に、ことし四月に東京において行えないかとの提案がありました。これは、県が予定している事業を実質一年前倒しで行う効果がありますことから、同商工会議所と共催で実施したところでございます。このフェアには、目標人数七十人に対し、百三十九人の参加者がございました。今後、来年三月に県が実施する際におきましても、鹿児島商工会議所を初め、民間団体等とも十分協議・連携して取り組んでまいりたいと考えております。
雇用確保ローラー作戦の成果と課題についてでございます。
県では、例年七月から九月にかけまして、経済団体や県内企業約二千二百社を対象に雇用確保ローラー作戦を展開し、新規学卒者の採用枠の確保や採用選考の早期実施等について要請活動を行ってきております。その結果、高校生の就職活動が始まる七月時点における県内企業の早期求人提出率は、この五年間で四五・五%から六七・一%と大幅に改善し、新規高卒者の県内就職率のアップに一定程度の効果があったと考えております。しかし、依然として県外企業のほうが早期求人提出率が高くなっております。そのため、県内企業の早期求人提出率をさらに高めるため、今年度から、高校への求人票提示が開始となる七月一日を見据えまして、一カ月前倒しの六月一日からローラー作戦を開始したところです。
今後も、例年同様、県内企業に要請を行いますとともに、七月に開催いたします県内企業と高校等就職指導担当者との情報交換会の機会も積極的に活用し、県内企業への一層の就職が促進されるよう努めてまいります。
29 ◯教育長(古川仲二君)インターンシップの必要性についてでございます。
インターンシップにつきましては、主体的な職業選択の能力やコミュニケーション能力の向上などの教育的効果が期待されますことから、平成二十六年度は全ての公立高校で実施したところでございまして、この結果、在学中に一回でもインターンシップを経験したことがある生徒の割合も六六%と、全国を大きく上回っているところでございます。また、小・中学校でも、地域での職場見学や職場体験を行うなど全ての学校で発達段階に応じた勤労観、職業観の醸成に努めているところでございます。
県教委といたしましては、専門高校を中心に、地域の特性を生かした教育を展開し、地域産業を担う人材の育成を図りますとともに、経済団体や事業所等の協力も得ながら、インターンシップをさらに充実させることで、生徒の地元企業についての理解を深めさせ、地元企業に就職する若者をふやすなど地方創生の観点も含めた取り組みの推進に努めてまいりたいと考えております。
[永田憲太郎君登壇]
30 ◯永田憲太郎君 緊急雇用ローラー作戦あるいはインターンシップ教育、これは地方創生事業とも大いに関連すると考えております。緊急ローラー作戦、これにつきましては当局といたしましても真剣に取り組んでいただいているところでありますが、このローラー作戦を開始してから、県内の企業の求人提出票が非常に多くなったとお聞きいたしております。さらに、県内に仕事を求める新卒業生の内定率も高まってきているとお聞きいたしております。
新卒業生ができるだけ地元に残って、そして地元で就職して、地元に貢献していただく。これが地方の人口減少に歯どめをかけるという、まち・ひと・しごと創生事業のミッションでありますので、このことは大いに歓迎したいと考えております。
また、インターンシップにつきましては、一〇〇%の学校で実施しておりますということでありました。では、生徒数としてはどのくらいなんですかとお尋ねいたしますと、六六%の生徒がこのことを経験しておりますということです。高校生であります。大学受験を控えて受験勉強に忙しい生徒もたくさんいらっしゃるわけでありますので、生徒の経験が一〇〇%というのはこれは無理な注文かなと私は受けとめております。
学校においては一〇〇%、どこもこのことを推進していますよということでありますので、今後ともこのことはぜひ
教育委員会として力を入れていただきたいとお願い申し上げますとともに、幼稚園、小学校など低年齢層の勤労観、職業観、仕事観を育成するための事業といったことも今後、取り組んでいただきたいとお願い申し上げておきます。
今回の県議会議員の選挙におきましては、投票率の低下が非常に大きな問題になりました。先ほど松田議員の発言の中にもありましたので、賞味期限切れの発言になるかもしれませんけれども、我慢してお聞きいただきたいと思います。今回の県議選は、四八・七%、五〇%を割った投票率。前回が五三・三三%だったそうでありますから、前回と比べて、またがくんと落ちているわけなんですね。四十年前は八〇・二三%という記録があるそうでございますので、約半分ぐらいに投票率が落ちてしまっているということになると思います。
そのような中で、先ほどの御答弁の中にもありましたけれども、期日前投票のウエートが年々ふえてきているように感じます。今回、期日前投票率が一二・七%、全投票数に対して二六・四八%を占めているそうであります。また、キャンパス内における期日前投票所設置、これは鹿児島大学内に設置したそうでありますけれども、この期日前投票の投票者総数というものは六百二十八人であったと、御答弁が先ほどありました。同じように、中央駅前のキャンセビルの勤労交流センター内に置かれた期日前投票所では三千九十六名が投票しているそうであります。このことは、今後の期日前投票のあり方として検証して、そして参考にしていく必要があるなと感じるわけであります。
また、今回の啓発運動としては、街頭やテレビやチラシなどで盛んに啓発運動をしましたということでございましたが、特に、若年層向けには御当地キャラクターを使ったりして啓発活動を行ったそうであります。私は、選挙で忙しかったからかどうかわかりませんけれども、この御当地キャラクターと対面する機会は最後までございませんでした。いろんな場所でこのことを取り組まれたんだろうと思っております。
分析の結果、お聞きいたしますと、いわゆる棄権年齢というものが二十代と三十代で最多数だそうであります。無関心層が増大しておりますといったことをお聞きいたしました。
お聞きする中で一つ気になりましたことが、投票所設置は統廃合で県内で四十七カ所減少して、千二百二十六カ所になったということでありました。この投票所の減少については、反省点としてまた考えていくべき課題ではないかなと思うわけであります。市町村合併の結果に伴って投票所設置も少なくなっていった。これでは少し残念な気がいたします。
投票所設置がどうして少なくなったんですかとお聞きいたしましたところ、投票に立ち会う人材が確保できないという事情があったと。市町村の事情でしょうけれども、投票に立ち会う人材がいなかった、足りなかった、不足していたということでありますので、これは努力することによって何か解決できるのではないかと感じます。
以上のことを申し上げまして、私の手元に県議選直後に要望というか、意見が寄せられましたので御紹介して、そして御答弁を願いたいと思います。
「今回の
県議会議員選挙は、
統一地方選挙として四月十二日に執行された。この時期は定期異動の時期と重なり、多くの方々が居住する市町村から他の市町村に転居することになる。
県議会議員選挙の場合、県内の他の市町村に転居しても、
不在者投票制度等を利用して投票を行うことができることになっているが、転居前の市町村選挙管理委員会に投票用紙を郵送で請求するなど、煩雑な手続と若干の経費負担が発生することになる。このうち、不在者投票を行うために若干なりとも経費を要することについて、有権者として当然の権利である選挙権を行使するにもかかわらず、経費がかかる人とかからない人がいるのとでは不平等が生じるのではないかとの声もある。低下傾向が続いている投票率の向上につなげるためにも、このような不在者投票に伴う有権者の負担を軽減することも必要だと考えるが、現在の制度はどうなっておりますか。また、制度の改正等は予定されていないのですか、教えてください」ということでありました。